血液内科
内科の病気の中で血液や骨髄、リンパ腺に起こる病気、とくにいろいろな貧血、出血傾向、血液やリンパ腺のがん(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫)などを担当する診療科です。
貧血
血液中の赤血球が減少した状態のことで、様々な原因が考えられます。感染症や炎症、中毒、出血、腫瘍、内分泌疾患、栄養状態など、その原因は多岐にわたります。
自分の力で赤血球を産生しているか、赤血球は正常につくられているか、体のどこかで壊されていないか、などを分別し、原因を追及していく必要があります。
場合によって輸血や、診断のための骨髄生検が必要となります。
(球状赤血球や涙滴赤血球を認める貧血)
骨髄穿刺による塗抹 |
免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
免疫介在性溶血性貧血とは
免疫成分の一つである抗体が赤血球を破壊し貧血を起こしてしまう病気です。
犬では自己免疫によるものが多く猫では白血病ウイルスなどが原因でおこることが知られています。重篤な急性の場合は死亡率が高く(30~80%)血栓症やDIC(播種性血管内凝固)などを併発してしまうこともあります。また赤血球以外にも血小板や白血球に抗体ができ同時に減少することもありますので注意が必要です。
症状
この病気の臨床症状は基本的には急性貧血に伴うもので、「元気がない」「食欲がない」「歯茎や結膜が白くなる」「呼吸が速くなる」「脈がはやい」などがあります。
また、「水をたくさん飲む」「嘔吐」などの消化器症状がでることもあります。
「黄疸」を伴う事も多く、「ヘモグロビン尿(赤色尿)」「発熱」がでることがあります。
特徴
ミニチュアダックスフンド、マルチーズ、プードル、コッカースパニエル、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、アイリッシュ・セッターなどの犬種に多い。
一般にメスの発症頻度はオスに比較して約3~4倍と高く、2~8歳に発症することが多い。
治療
免疫抑制療法を行います。
多くの場合、副腎皮質ホルモン剤とその他の免疫抑制剤が併用されます。
さらに反応がみられない場合ヒト免疫グロブリンの投与やステロイドのパルス療法を実施することもあります。
治療は数カ月間続ける必要があり、この間免疫力の低下による感染や副腎皮質ホルモン剤の副作用に注意をする必要があります。
再発性や難治性の場合に脾臓の摘出が適応されることもあります。重度の血色素血症や自己凝集がみられるもの、血小板の減少を伴ったものは予後が悪い傾向があります。