がん腫瘍科

現在、予防医学の発展により動物の高齢化が進み、腫瘍疾患が非常に増えています。

1998年のデータではワンちゃんの死因の半分は悪性腫瘍で、ネコちゃんの死因のトップは悪性腫瘍であったと報告されています。

長年可愛がっていた子が「がん」であると知った時は、目の前が真っ暗となり、その精神的苦痛は計り知れないものです。
もう治らないと思い、治療をあきらめてしまう飼い主様もいらっしゃると思います。
しかし、獣医腫瘍学は急速に進歩しており、がん(悪性腫瘍)も、その種類や進行度によっては治る(根治できる)「がん」のケースが多数あります。
治療にあたって最重要となるものが、『どのような種類のがんであるか』ということです。
これは細胞診検査や組織生検によってわかるものです。
『どのような挙動をとる腫瘍なのか?』『どのような治療が最も適しているか?』『今後どのような状態が予想されるか?』と、治療計画をたてるためには必ず必要になります。
また根治が難しいがんでも、治療することにより症状を緩和し、痛みなどを取り除くことで、快適な生活をより長く過ごせることがあります。

腫瘍ってなに?

体の表面や体内にできるいわゆる"しこり"を腫瘤と呼びます。
その中で、細菌などの感染によるものや、正常な組織が増殖したもの(過形成・肥厚など)など以外のしこりを腫瘍と呼びます。
腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍(癌・肉腫など)があります。
良性腫瘍では、転移することがなく、大きくなる速度もゆっくりです。
しかし、悪性腫瘍では、一般に増大速度が速く、周囲の組織に浸潤し、 肺や各臓器に転移することもあります。
このため、治療を開始する前にしっかりとした診断を行うことが重要です。

腫瘍の診断はどうやってするの?

T 腫瘍の大きさ、浸潤度の確認

腫瘍の大きさや、周囲組織との関連を調べます。
体の表面の腫瘍では触診が重要です。また、体内のものは、レントゲン検査、超音波検査により確認します。
また、細胞診検査や組織生検を行うことにより、腫瘍・非腫瘍の鑑別や、良性・悪性の鑑別などができる場合があります。
これらにより、手術の必要性や可否、手術の範囲、難易度などを把握します。

N 所属リンパ節の確認

腫瘍のリンパ節浸潤や、細菌の感染などによって、リンパ節は大きく腫れます。体の表面のリンパ節は触診により確認します。また、体内のリンパ節は、レントゲン検査、超音波検査により確認します。
リンパ節の大きさや、硬さなどを確認し、必要であれば細胞診検査を行い、腫瘍浸潤の有無を確認します。これにより、腫瘍の進行度などを把握します。

M 遠隔転移の確認

原発の腫瘍より離れた場所で同じ腫瘍細胞が認められることを、遠隔転移といいます。
腫瘍により転移しやすい部位がありますが、肺や、肝臓、脾臓などが転移しやすい場所です。
また、骨に転移が認められることもあります。
レントゲン検査や、超音波検査によって、遠隔転移の有無を確認します。これにより、腫瘍の進行度などを把握します。

S 全身状態の確認

血液検査や、尿検査、その他必要な検査を行い、全身状態を確認します。
これらにより、手術ができるのか?全身麻酔ができるか?輸血の準備が必要か?
薬(抗がん剤など)はどの種類が適切か?などを確認します。

腫瘍診断のためには、身体検査(触診・聴診など)、胸部・腹部レントゲン検査、超音波検査、血液検査などの検査が最低限必要となります。これらを把握することにより、腫瘍疾患に悩んでいるワンちゃん、ネコちゃんにとって、ベストだと思われる治療法を判断し、治療することができます。

腫瘍に対する治療にはなにがあるの?

腫瘍に対する治療法には、1.外科療法、2. 化学療法、3. 放射線療法などがあります。それぞれの治療法にも利点・欠点があります。
また、腫瘍の種類によって効果のある治療法が異なってきます。腫瘍の種類や進行度に応じて様々な治療法をご提案させて頂きます。

1. 外科療法

手術によって腫瘍を摘出する方法になります。
腫瘍の根治を目指すために第一に選択する治療法です。
手術を行う場合次の点が非常に重要となります。
・手術をするメリットはあるのか?
遠隔転移などが認められるなど、手術によるメリットが少ないケースではお勧めできません。
・ 腫瘍をとりきれるのか?
再発する可能性が高い腫瘍ではより積極的な手術が必要となります。また、大きな血管に浸潤しているため摘出が困難なケースもあります。
ただし、根治が難しいケースでも、症状を緩和し、苦痛を軽減することで、生活の質を向上させることができる場合があります。

2. 化学療法(抗がん剤)

抗がん剤を使用し、治療する方法です。 抗癌剤の効果が最も期待できるがん(リンパ腫など血液のがん)の場合、外科療法で不完全切除だった場合、術後の病理組織検査でがんの脈管内浸潤がみられた場合などに選択していきます。

3. 放射線療法

高エネルギーX線治療装置を用いて治療する方法です。外科療法が困難な場合・外科療法で不完全切除だった場合・抗癌剤の効果が期待できない場合など放射線療法が適切と判断した場合は、放射線療法を提示させて頂き、放射線治療装置の設備のある高度医療施設にご紹介いたします。

どのようながん治療を行うかは、飼い主様への十分なインフォームド・コンセントを行い、治療方法、治療効果(寛解・根治率)、治療期間、治療リスク、費用など充分に納得していただいたうえで決めていきます。
また、治療経過を見ながら軌道修正をし、家族、動物それぞれにあったベストの治療法に近づけていくことが大切です。

腫瘍科は大変時間がかかりますので、まず事前にご連絡をください。必要に応じて予約診療とさせていただくことがあります。

当院での治療例獣医師スケジュールトリミングサロン・ペットホテル HydePark
PageTop
ページTOPへ メニュー一覧へ